開会中の 長野市議会12月定例会で行なわれた「個人質問」で登壇しました。
その質疑(通告)項目のうち「スポーツを軸としたまちづくりに向けたコンサルタントとの連携協定について」の質疑(やり取り)についてレポートします。
質問趣旨は、長野市=荻原市政 が、スポーツ振興の名の下(もと)に「スポーツの産業化」を伸張させるあまり、身近な市民スポーツを〝置き去り〟にしないよう警鐘を鳴らすべく発言したものでありました。
去る11/21(木)、長野市は「スポーツを軸としたまちづくり」を目指す」として、スポーツ振興を手がける大手コンサルタント会社(KPMGコンサルティング株式会社)と「連携協定」を結んだことが報じられました。
それによると「本協定は、さまざまな分野に知見のある同社と長野市が相互に連携・協力することで 長野市の「スポーツを軸としたまちづくり」を推進し『スポーツの力で未来をつくるまちNAGANO』の実現を目指します。今後、本市が有する地域資源や長野オリンピック・パラリンピック開催都市として得たシビックプライドと同社が持つグローバルな知見を融合させながら、協働により 地域課題の解決・地域活性化・新産業の創出に取り組んでいきます」とされています。
[参考]連携協定を伝える長野市ホームページ
↓
https://www.city.nagano.nagano.jp/n042000/news/p00160.html
この連携協定自体は「スポーツを軸としたまちづくり」の視点でも評価されるところですが、ただ私が気になったのは「スポーツによる地域経済の活性化」が強調されている面です。
協定の調印の場でも 荻原長野市長は「スポーツの産業化は中長期的で取り組むことが大事。連携を深めて全国屈指のスポーツタウンにしたい。」と述べられるなど、あたかも本市のスポーツを、経済重視の視点で進めたいとの思いが透けて見えたところです。
「スポーツ」といえば、勝利を至上とするトップアスリートが活躍するステージがある一方、健康増進・心身のリフレッシュ・コミュニティ醸成などの多様な価値観に基づく〝市民レベル〟で(スポーツに)親しむに場が いわば対極としてあります。
で、かかる市民レベルでスポーツに親しむ方々の中には、今回の連携協定を知り「〝スポーツの産業化〟の大義の下で、いわば底辺にある市民スポーツに犠牲が強いられるのではないか」との憂慮の声を挙げておられることから、私は それら〝市民の声〟を代弁する形で議論いたしました。
そこで先ず、今回のコンサルタントとの連携協定の概要と、そのことで市民スポーツに影響が及ぼされることになるのか質(ただ)したところ、市(スポーツ部長)は、前掲の協定の「意義」を説明し いわゆる「市民スポーツへ」の影響の有無については明言しませんでした。
私が今回 このコンサルとの連携協定に一矢を放った背景には、ここのところの長野市の〝市民スポーツに向き合う姿勢〟に対し、市民から いわば疑問符が投げかけられているところにあります。
昨年 長野市は、市民が日常的に親しむ体育館(勤労青少年ホーム)の廃止を提案しました(その後 市民要望により存続)。
さらに 今年度になって、これまで無料で利用できていた「社会体育館」について 突如の形で有料化を提案、それも2時間で約3,000円という法外な料金を課すとの内容で、多くの市民から困惑と疑問の声が挙げられたところです。
一方で長野市は、プロサッカーやプロバスケットボールなどのトップアスリートを支援する中で「スポーツによる地域経済活性化」を前面に掲げ、あたかも市民スポーツを蔑(ないがし)ろにしているのではないかと憂慮される面を併せもっているのです。
そんな中、この「社会体育館有料化」に対し、利用者からは「有料化自体は拒むものではないけれど、料金があまりに高過ぎる」と悲鳴にも近い声が寄せられ、それを反映する形で 市民団体が意見交換会を行なったり、利用者の署名を提出する動きに発展しました。
[参考]社会体育館有料化に関するニュース
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https://news.yahoo.co.jp/articles/e119a66234988e1a445c7ff70a2524eb5a83f7c7
[参考]市民による意見交換会レポート(倉野立人 旧ブログ)
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https://blog.goo.ne.jp/kurano123/e/94ed30ca0a515d09846d5271cf7eb312
[参考]競技団体から署名簿の提出レポート(倉野立人 旧ブログ)
↓
https://blog.goo.ne.jp/kurano123/m/202408
これら〝拙速かつ市民置き去り〟とも言える長野市の動きに対する「市民の声」は、市行政を動かす(=思いとどまらせる)こととなりました。
長野市は、当初「本年10月に実施する」とした社会体育館の高額に及ぶ有料化について「来年度以降に検討」との大幅な延期を、審議会を経て表明したのです。
このこと(有料化先送り)は、突然の高額有料化に対し (前掲の)市民団体による見直しに向けた働きかけや、多くの利用者による署名提出などの「市民の声」を真摯に受け止めた末の英断であると評価が寄せられる一方、市・とりわけ市長は、次期市長選を控え、市民に耳障りの良くない課題については選挙が済むまで先送りし、改選後にコンサルを楯にして一気に有料化に突き進むのではないかと穿(うが)穿(うが)った見方をする方もおられます。
そこで、この社会体育館有料化問題先送りについての市長の真意と、今後の取組みの方針について所見を質しました。
これについて荻原長野市長は、先ずは所管のスポーツ部長の答弁をなぞる形で 長野市のスポーツ振興構想を述べると同時に「今後とも市民の皆様の声に耳を傾けながら政策を進めてゆきたい」旨の〝一般論型答弁〟に終始していました。
そのうえで「今回のコンサルトの連携協定では、社会体育館有料化には触れていません」旨も強調されておられました。
今回 この項目の質問を通じて私は、長野市に対し 改めて「市民益の維持伸張には〝市民レベルのスポーツ〟が欠かせない」旨の一矢を投じたところです。
確かに、オリンピックに象徴されるように スポーツとりわけトップアスリートによるスポーツ振興は、多くの経済効果と活性化を地域にもたらす効果があります。
しかし、あまりにそれ(経済効果)を訴求すると、例えば限りある体育施設の利用制限や市財政の(トップアスリートへの)偏用(へんよう/偏った支弁)など、見方によっては 市民スポーツを犠牲や負担を強いる面も起きることが憂慮されます。
一方で、かかる「市民スポーツ」には、自治体の行財政運営をも助ける側面があるのです。
ご案内のとおり、今や自治体運営の〝足かせ〟になっているのは、保険料や医療費補助などの「扶助費」ですが、そこには 特に高齢化の伸張に伴う〝高齢者のお医者さん通(がよ)い〟の実態があります。
ところが、もし 多くの高齢者さんが健康を維持し〝医者いらず〟の健康生活を送ってくださったとすれば それは即ち市の扶助費の軽減につながり、最終的には市の行財政をも健全化に導く効果が期待されるのです。
マ、このこと(トップスポーツの振興⇔市民スポーツの充実)は どちらかー方が良ければヨシ、ではなく、両面の充実が必要なことは言うまでもありませんが、ややもすると 現下の市政が、前者の〝トップアスリート偏重〟に映る面が多いことから、今回の個人質問を通じて、いわば〝牽制球〟を投げたところです。
発言を通じて「地方自治体運営は、健全な市民生活のうえに成り立っている」このことを強く伝えたところです。




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